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平成3年改正より前の監査基準には「財務諸表監査において監査人が、通常実施すべき監査手続であって、実施可能にして合理的である限り省略してはならないもの」として「通常の監査手続」が具体的に示されていました。
リスクアプローチ監査に合わないということで、現行基準では削除されていますが、今でも役に立つ内容を含んでいますので、紹介することにしました。
利用方法としては、例えば、小規模企業の監査手続策定や監査以外の業務(財務調査など)の参考にすることが考えられます。
テキストには、手元の資料の関係で、昭和58年2月最終改正のものを使っています。
「通常の監査手続」の構成
「通常の監査手続」は、旧基準では、以下のような構成となっていました。
一 個別財務諸表に係る通常の監査手続
(1) 予備調査の手続
(2) 取引記録の監査手続
(3) 財務諸表項目の監査手続
二 連結財務諸表に係る通常の監査手続
(1) 予備調査の手続
(2) 基礎的事項の監査手続
(3) 連結決算の監査手続
(4) 連結財務諸表の表示方法の監査手続
当サイトでは、「取引記録の監査手続」と「財務諸表項目の監査手続」は、「財務諸表項目の監査手続」の配列に従い、一括して科目別にまとめました。これに伴い、項目の表題に若干の修正を加えています。また、「連結財務諸表に係る通常の監査手続」は省略しました。
「取引記録の監査手続」と「財務諸表項目の監査手続」
それぞれの手続の目的は以下のとおりです。
「取引記録の監査の目的は、会社の内部統制組織が実際に有効に運用されているかどうか及び取引記録が「企業会計原則」に継続的に準拠しているかどうかを調査することにより、取引記録の信頼性の程度を確かめることにある。」
「財務諸表項目の監査の目的は、取引記録の監査の結果得られた信頼性の程度に照応して、勘定残高の当否を確かめ、更に財務諸表の表示方法の妥当性を検討することにより、財務諸表が「企業会計原則」に継続的に準拠して作成され、会社の財政状態及び経営成績を適正に表示しているかどうかを確かめるにある。」
ここでいう「企業会計原則」は、それ以外の基準や指針を含む「一般に公正妥当と認められる企業会計の基準」と読み替えるべきでしょう。
また、期中の勘定残高について手続を実施する場合について以下のようにふれています。
「財務諸表項目のうち、必要と認められる項目についての監査手続が、決算日以外の日における勘定残高について実施された場合には、決算日との間の取引に関する資料又は記録を検討して、決算日における勘定残高の妥当性を確かめる。」
注意事項(現行実務との相違点など)
・現行実務では、虚偽表示に関するリスク評価を行ったうえで、それに対応する手続(種類・実施時期・範囲)を策定することが求められており、どの企業にも当てはまる一律の監査手続はないという考え方です。したがって、「通常の監査手続」はあくまで手続策定上の参考として使うことになります。
・現行実務では、企業の理解(内部統制の理解を含む)をまず行うことが必要ですが、「通常の監査手続」では、それらは予備調査という非常に軽い扱いになっています。
・現行実務では、内部統制を評価する手続と実証手続は明確に分かれていますが、「通常の監査手続」では「取引記録の監査手続」の中に統制評価手続と実証手続が混在しています。
・継続企業の前提に関する検討や経営者確認書の入手など現行実務上必須となっている手続についてはふれていません。また、いわゆる会計ビッグバン以後の会計基準の変更にも対応していません。
・「通常の監査手続」は、「商工業を営む会社で、適当な内部統制組織を有するもの」を監査する際の手続です。
目次
予備調査の手続
1.初度監査の予備調査
2.連続監査の予備調査
科目別監査手続
1.現金預金
2.手形債権(受取手形)
3.売掛金
4.貸付金
5.有価証券
6.たな卸資産と売上原価
7.有形固定資産と減価償却費
8.繰延資産
9.手形債務(支払手形)
10.買掛金
11.借入金
12.経過項目
13.引当金
14.資本
15.売上高
16.販売費及び一般管理費
17.仮勘定
18.偶発債務
19.後発事象
20.親会社、子会社、関連会社等に対する諸項目(親会社、子会社、関連会社等との取引)
21.財務諸表の表示方法
関連サイト
会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

